金の買取時に気になるのが、税金がいくらになるかということでしょう。金を継続的に取引している方を除いては、税金について知識があると自信をもって言える方は少ないのではないでしょうか。この記事では、金の買取前に知っておきたい、所得区分や税金の計算法を解説します。確定申告をしなければいけないのかどうかや、税金を抑えるコツの解説もありますので、金の買取で手元により多くの現金を残したいと考えている方は、この記事の内容を確認してみてください。
金を買取してもらうときの所得区分

金は、不動産や株式と同様に資産に位置づけられており、金を売却すると原則として税金がかかります。税金といっても種類があり、金を売却したときにかかる税金の区分は3種類で、それぞれの特徴を以下で詳しく解説します。
1回など不定期な売却
金を単発で売却した際の所得は、譲渡所得という種類の区分けになります。これは、土地・建物・株式などの資産を売却した際に生じる所得のことです。
個人が利益目的で繰り返し売却
個人が継続的に金を売るケースは、雑所得という区分になります。ここでいう継続的とは、利益を得ることを目的に何度も売却を繰り返すことです。
法人が継続的に売却
事業として繰り返し金を売却するケースは、事業所得に区分されます。雑所得との違いは、個人ではなく事業として売買を行っているかどうかです。
ご自身がどのパターンに当てはまるのか確認しておきましょう。個人で金の売却をする場合、一般的には譲渡所得にあてはまることが多いため、本記事では譲渡所得について詳しく紹介していきます。
金を買取してもらうときの税金の計算方法

課税の対象となる所得について、金の所有していた期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれ、それぞれで計算方法が異なるため、以下で詳しく解説します。
譲渡益
短期・長期どちらの場合でも、まずは譲渡益を計算することになります。譲渡益の計算は、売却金額から取得価格と売却費用の合計を引くことで求められます。
売却金額とは、金の重さに金1gあたりの買取レートをかけた金額です。金の価格は毎日変動しており、たとえば1gあたり10,000円の買取レートのときに、300gの金を買取してもらうと、売却金額は300万円です。
取得価格とは、金を購入したときの値段のことです。金を購入した際に販売店が発行する明細書に書かれているため、そちらで確認できます。
そして、売却費用とは、金を買取してもらうときにかかった手数料や書類代のことです。言い換えると、金を売った金額から買ったときの値段と手数料などを引いたものが譲渡益となります。このとき、金の価格が買ったときよりも下がっている場合は、合計がマイナスとなります。利益ではなく損失となり、金以外の譲渡金がある場合はそちらの控除にまわすことができます。
短期譲渡所得
金を購入してから売るまでが5年以内だった場合は短期譲渡所得といい、金とその他の資産の売却で得られた譲渡益の合計から特別控除を引いて求められます。金を含む譲渡益の合計に対しては、特別控除が50万円分設けられています。たとえば、金を売って得た利益が300万円で、他に土地や株式などの資産を持っていない場合、300万円-50万円という計算になり、課税の対象となる金額は250万円です。
長期譲渡所得
金を買取してもらった年の1月1日時点で5年以上保有していた場合は、長期譲渡所得と呼ばれ、短期譲渡所得の半分となります。先ほどの例と同様の場合は、(300万円-50万円)÷2という計算になり、課税の対象となる金額は125万円となります。金は5年以上経ってから売った方が節税効果が高いとわかりますね。
短期と長期両方がある場合の計算方法
短期・長期のどちらもある場合、控除額は合計で50万円であり、短期譲渡所得を優先して控除します。控除額が余っているときは、余った金額を長期譲渡所得に適用することが可能です。全ての所得の合計に対して、累進課税による税率をかけたものが所得税となります。
金を買取してもらったときは確定申告が必要?

金を売却したときは、確定申告をしなければならない場合と不要な場合とに分かれます。それぞれの具体的な金額と注意点を、以下で詳しく解説します。
確定申告が必要なケース
前述の通り、譲渡益は50万円分まで控除されるので、利益が1年で50万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。利益は、その年の1月1日から12月31日までの利益を含めましょう。確定申告は翌年の2月16日から3月15日までの期間で行ってください。
金の譲渡益については、原則として自己申告です。ただし、金の買取額が1回あたり200万円を超える場合は、「金地金等の譲渡の対価の支払調書」を買取業者が税務署に提出する義務があるため、確定申告をしないと税務署から連絡がくる可能性があります。
確定申告が不要なケース
以下のいずれかに該当する場合は、金を売ったことで年間50万円を超える利益が出ても確定申告は不要です。
- 年収2,000万円以下の年末調整対象者である
- 給与所得以外の所得の合計が20万円以下である
- 有価証券の売却益がすでに源泉徴収されている
上記の対象者であっても住民税の申告は必要になるため、自治体の案内を必ず確認しましょう。また、金そのものの買取ではなく、投資信託やETFなどの金の価格に連動した金融商品の売却益は、口座から源泉徴収されるので、確定申告をする必要がありません。
金を買取してもらうときのコツ

金の買取で発生する税金は、工夫次第で少なくできます。所得が多ければ、その分だけ累進課税による税金の額が増える可能性があるので、以下の対策をおすすめします。
5年以上保有してから売却する
前述の通り、購入や相続をして5年以上の年月が経ってから金を売る場合は、「長期譲渡所得」として計算します。短期譲渡所得と比べて課税の対象となる金額が半分になるため、税額を減らすために、金の売却は購入や相続から5年以上経った後で行うのがおすすめです。
金の購入でもらった計算書を保管しておく
金の購入の際には、いくらで購入したのかを証明する計算書をもらいます。その計算書に基づいて譲渡益を計算しますが、計算書がないと、売却金額の95%が譲渡益となるため、その分多くの税金を払うことになるかもしれません。とても大切な書類ですので、失くさないよう大切に保管しましょう。
数年かけて買取してもらう
金をまとめて買取してもらうと、その年の売却益が増えてしまい、税額が高くなります。たとえば、1年で200万円分の金を売却すると、少なくとも75万円分は課税対象となり、所得が増えた分の税金を払う必要があります。これを1年ではなく4年に分けて50万円ずつ売却すると、すべて特別控除内で収まるため、金の売却で税金が増えることはありません。税金の負担を減らすため、金は数年かけて買取してもらい、税金の総額を減らすことも検討しましょう。
金を相続したら3年以内に売る
金を相続した後に買取を考えているなら、3年以内がおすすめです。相続してから3年以内の売却であれば、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」というものが適用され、税金を軽減できます。
金の買取は業者に相談しよう

ここまで金に関わる税金や節税のコツについて説明してきました。金の買取を検討しているなら、ぜひ専門業者に相談しましょう。専門店では、現在の金買取レートの確認や、税金の軽減方法のアドバイスが受けられることがあります。
今回の記事内の知識や専門家のアドバイスを活かして節税することができれば、より多くの金額が手元に残るでしょう。相談は無料で行っている業者が多いため、まずは相談を検討してみてください。