「スズメバチが家の周りを飛んでいる!」「スズメバチの巣が庭にできてしまった!」
こんな時、スズメバチの巣をご自身で駆除しようとするのは大変危険です。スズメバチは攻撃性と毒性の高さが特徴で、刺されると全身にじんましんなどの皮膚症状が現れる他、めまいや呼吸困難などアナフィラキシーショックの症状が出て、命に危険が及ぶ可能性すらあるからです。
スズメバチはとても凶暴な性格をしており、毎年人を刺す被害が報告されています。そのためご自宅の敷地内にスズメバチの巣ができた場合は、専門業者や行政に駆除を依頼するのが最も安全です。
しかし、状況によってはご自身での駆除が可能なケースもあります。そこで今回は、スズメバチの巣の安全な駆除方法について、業者の選び方や行政への依頼方法、自力駆除ができるケースと併せ解説いたします。
スズメバチの巣の駆除は、専門業者か行政に相談を

いきなり結論となりますが、スズメバチの巣を見つけたら、まずは専門業者や行政に駆除の相談をするのが一番です。スズメバチの巣の駆除は、大変危険な可能性があるからです。
ホームセンターやネット通販などでは、スズメバチ駆除用の防護服や駆除スプレーなどが販売されているため、「自分でも駆除できる」とお考えの方も少なくありません。しかし、スズメバチは攻撃性・毒性がとても高く、さらに刺すだけでなく霧のように毒をまき散らしてもきますので、本当に危険です。
スズメバチは神経毒が特に強力で、呼吸器官に入れば危険なのはもちろん、目に入れば失明の恐れもあります。
またスズメバチに限らず、自分でハチの巣を駆除しようとしてハチに刺されてしまうと、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。アナフィラキシーショックに見舞われると、嘔吐や呼吸困難、全身のじんましんなどの諸症状が起こり、場合によっては生命の危険に及ぶこともあるのです。
アナフィラキシーショックは、短期間に2回刺された場合に起こりやすいと言われています。しかし、たとえ一回のハチ刺されであっても、多量の毒が体内に入れば、アナフィラキシーショックが起こる危険性があります。また一度刺せば針がちぎれて死んでしまうミツバチと異なり、スズメバチは何度でも刺すことができ、それが集団で襲ってくるので、複数回刺される危険性も高くなります。
毒性の強いスズメバチの巣を見つけた場合は、まずは専門業者、もしくは行政に相談してください。
専門業者に依頼する場合の注意点
- 複数の業者に見積もりを依頼し、駆除作業の費用相場を確認する
- 作業前に見積もり金額以上の追加請求を行わない業者を選ぶ
- 電話営業や訪問営業をかけてこない業者を選ぶ
- ハチの巣の駆除作業以外の工事(屋根のリフォームなど)をしない業者を選ぶ
スズメバチの巣の駆除は、スズメバチ駆除の専門業者に依頼するのがもっとも安全・確実な方法です。
スズメバチの巣は、巣をつくった場所や時期によって駆除方法が変わります。そのため一般の方が安全に駆除するのは本当に難しく、命の危険に及ぶ可能性すらあるのです。
しかし、いざ業者に依頼しようとしても、業者の中には最初の見積金額以上の金額を不当に請求をしてきたり、再発防止を含めた十分な駆除作業を行わなかったりと、いわゆる「悪徳業者」が少なからず存在するため、注意が必要です。
悪徳業者の特徴はいくつかありますが、代表的なものは、作業後に見積もり金額以上の追加料金を請求してくる業者です。
見積もり時には「1,000円で駆除します」「今ならキャンペーン中でお得です」などと格安料金を提示しておきながら、実際に駆除作業を終えると、出張費や部材料金などを追加請求するというのは、典型的な悪徳業者の手口です。また「屋根が傷んでいるからついでに屋根の修理もしましょう」など、ハチの巣駆除以外の工事を提案してくるケースも多々あります。
電話営業や訪問営業をかけてくる業者も要注意です。電話営業や訪問営業をかけるということは、それだけ人件費を使っているため、一般的な駆除費用よりも高額になるケースが珍しくありません。
スズメバチの巣の駆除を専門業者に依頼するときは、まずは慌てず、複数の業者に見積もりを依頼して、一般的な費用相場を確認しましょう。そのうえで、駆除作業の前に、見積金額以上の請求がないことを確約してくれる業者を選んでください。
行政に依頼する場合の注意点
- 敷地内のハチの巣駆除を無償で行ってくれるのか確認する
- ハチの巣駆除の委託業者を紹介してくれるのか確認する
- ハチの巣駆除に補助金を出してくれるか確認する
- 自力駆除の際に、必要な駆除用具を貸し出してくれるか確認する
東京都新宿区や千葉県松戸市などの一部地域では、スズメバチの巣の駆除を行政が無償で行ってくれます。
しかし区役所や市役所などの行政が、スズメバチの巣の駆除をしてくれるのかどうかは、その自治体の方針によって異なります。私有地となる自宅敷地内のハチの巣駆除作業は、ハチの種類にかかわらず、原則所有者の責任で駆除をするよう指導する自治体が少なくないからです。
ただ、無償でスズメバチの巣を駆除してくれない地域でも、自治体経由で委託業者に依頼してくれる自治体が数多くあります。行政の委託業者の場合、ご自身で業者に依頼するよりも駆除までに若干時間がかかる可能性はありますが、「悪徳業者」による高額請求トラブルに巻き込まれる可能性は低くなります。
また一部地域では、スズメバチの巣の駆除を委託業者へ依頼する際に、補助金を出してくれるところもあります。各自治体の予算状況によっては、すでに補助金が終了している可能性もありますが、補助金をうまく活用すれば、駆除費用を抑えることができるのです。
一方で、東京都八王子市や神奈川県横浜市などの一部地域では、スズメバチの駆除を行わないものの、自力駆除のために必要な用具の貸し出しやアドバイスを提供してくれます。
行政がスズメバチの巣をどのように駆除するのかは、その自治体の方針によって異なります。しかし、いずれのケースでも相談に乗ってくれる自治体は数多いため、「専門業者の選び方がわからない」とお悩みの場合は、まずは行政に相談してみるとよいでしょう。
敷地内にスズメバチの巣が!? 巣の特徴と発見方法

ご自宅の敷地内にスズメバチが飛んでいるのを見つけたら、「自宅にスズメバチの巣が作られたかも⁉」と不安になりますよね。ただ、近隣から飛んできただけの可能性も考えられます。
そこでご自宅の敷地内に本当にスズメバチの巣ができたのかを確認するための、スズメバチの巣の特徴と発見方法をお教えします。
スズメバチの種類
一口に「スズメバチ」と言っても、その種類は数多いです。ただ、その中で人を刺すスズメバチとして代表的なものは、以下9種類です。
- オオスズメバチ
- キイロスズメバチ
- モンスズメバチ
- チャイロスズメバチ
- ツマグロスズメバチ
- ツマアカスズメバチ
- コガタスズメバチ
- ヒメスズメバチ
- クロスズメバチ
この中で最も危険なスズメバチとして有名なのが、オオスズメバチです。しかし、オオスズメバチは土の中に巣をつくるため、山中での作業やハイキング、登山の際に刺されるケースが主となっており、人の住むエリアでの被害報告は少ないのが特徴です。
スズメバチの被害報告として最も多いのはキイロスズメバチで、近年はコガタスズメバチの被害報告も増えています。
キイロスズメバチとコガタスズメバチの2種類は、住宅の軒下や天井裏、庭の木などに巣を作るため、人の住むエリアや都市部によく見られるスズメバチとなっています。
キイロスズメバチの巣の特徴と作る場所

外見的特徴 | 貝殻模様のボール型の巣。スズメバチの巣の中でも最大級のサイズで、大きいものだと直径1メートル前後になる。 |
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巣をつくる場所 | 初期は屋根裏、床下などの閉鎖的な場所。サイズが大きくなると軒下など開放的な場所に移動して巣をつくることも。 |
キイロスズメバチは山間部や都市部など、幅広い場所に巣をつくるのが特徴ですが、住宅に作る場合、特に初期は屋根裏などの閉鎖的な場所を好む傾向があります。
しかし、スズメバチの中でも最大級の巣をつくるキイロスズメバチは、巣のサイズが大きくなるにつれ、巣の場所を引っ越しし、軒下や庭の木など開放的な場所に巣をつくることがあります。
キイロスズメバチの巣は最大で1メートル前後まで成長するので、大きくなるにつれ一目で巣が作られたことがわかるようになります。
コガタスズメバチの巣の特徴と巣をつくる場所

外見的特徴 | 女王バチが一匹で作る初期はトックリを逆さにしたような形状。働きバチが羽化するとマーブル模様の球体に。巣のサイズは最大でも~30センチ程度。 |
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巣をつくる場所 | 庭木や生け垣、軒下、ガレージなど開放的な場所。 |
コガタスズメバチの巣は、初期段階ではトックリを逆さにした形状となります。この時点では女王バチが一匹で巣作りしているので、絶好の駆除タイミングとなります。
巣の中で働きバチが羽化し始めると、働きバチが巣作りを行うようになり、次第にマーブル模様の球体に変化していきます。
コガタスズメバチの巣は庭木や生け垣、軒下、ガレージなど開放的な場所に作られることが多く、特に低い庭木に多くみられます。一方で庭などの茂みの中に巣をつくるケースもよくみられ、なかなか見つけづらいことも珍しくありません。
スズメバチの巣は自分で駆除できる?

最初に述べたように、スズメバチの巣の駆除は、専門業者や行政に相談するのが一番です。スズメバチは攻撃性と毒性が高く、刺された際に命の危険に及ぶ可能性すらあるからです。
しかし、以下のケースすべてに該当する場合であれば、スズメバチの巣をご自分で駆除することも不可能ではありません。
- スズメバチの巣の大きさが10センチ未満(初期段階)
- スズメバチの巣が低い位置(高すぎない位置)にある
- スズメバチの巣が庭や軒下など開放的な場所にある
- 駆除する方がハチ毒アレルギーを持っていない
- 複数人で夜間に作業ができる
- 防護服、駆除用具を用意できる
スズメバチの活動時期は、4月〜11月頃までと言われており、特に4月~5月頃は、冬眠から目覚めた女王バチが巣作りと子育てを始めます。 この初期段階であれば、働きバチも羽化していないためスズメバチの数が少なく、巣のサイズも小さいため、駆除も比較的容易となります。
スズメバチの巣の自力駆除を避けるべきケース
たとえ巣のサイズが小さく見えたとしても、7月~9月の期間はスズメバチの数が多く、活動も活発となるため、スズメバチの自力駆除は避けてください。
この時期はサナギや幼虫の数が増え、新たな女王蜂も生まれるため、スズメバチは巣を守るため非常に攻撃的になっています。7月~9月頃に一般の方が駆除するのは大変危険です。巣には極力近づかず、専門業者や行政に相談してください。
また巣が高すぎる位置にあったり、屋根裏や床下など閉鎖的な場所に巣がある場合は、自力駆除は避けるべきです。
自力で駆除作業を行う際は、ハチが休息している夜間帯に作業するのが原則です。しかし巣が高すぎる位置にある場合、巣の場所を目視で確認するのが難しくなり、ガサガサと巣を探してしまうとスズメバチを刺激してしまう恐れがあります。また屋根裏や床下に巣がある場合、床板を剥がしたり障害物をどける際に大きな音が出て、スズメバチを刺激する可能性があります。
さらに大原則として、ハチ毒アレルギーをすでに持っている方は、アナフィラキシーショックを起こす危険があるため、自力駆除を避けましょう。万が一の際に、すぐに助けを呼べるよう複数人で作業できない場合も、業者や行政に相談すべきです。
またスズメバチの駆除をする際は、必ず防護服や駆除用具を用意し、軽装で行わないようにしましょう。
スズメバチの巣を自分で駆除する際の準備

スズメバチを自力駆除しなければならないときは、事前準備をしっかりとしておきましょう。
- 市販のスズメバチ駆除スプレー(複数用意)
- 防護服
- 厚手の長手袋
- 長靴
- 懐中電灯(赤色ライト、もしくは赤セロファンをつけたもの)
- 巣の高さまで届く長い棒 / 枝切りバサミ・ノコギリ
- 脱脂綿
- ちりとり・ほうき
- 厚手のビニール袋
- 「戻りバチ対策」としての忌避剤・捕獲トラップ
スズメバチの巣を駆除する場合、まずはスズメバチの駆除をしなければなりません。そのために市販のスズメバチ駆除スプレーを、1本ではなく複数本ご用意ください。駆除スプレーは目安として10〜15分程度噴射し続けますが、1本だけだと駆除中に使い切ってしまう恐れがあります。
またスズメバチに刺されないよう、防護服・厚手の長手袋・長靴の準備も欠かせません。防護服を用意できない場合は、作業着・雨合羽・防虫ネットつき帽子・タオル・マスク・ゴーグルで代用してください。雨合羽のみではスズメバチの毒針が貫通する恐れがあります。必ず厚手の作業着や顔や頭、首を守る帽子、タオル、マスク、ゴーグルを装着してください。またスズメバチを刺激しないよう、身に着ける服は白色を基本としてください。しかし万全を期すことが難しい可能性があるため、できるだけ防護服を用意するのがおすすめです。
夜間作業となるため懐中電灯が必要となりますが、スズメバチを刺激しないよう通常の懐中電灯ではなく、赤色ライトのものをご用意ください。懐中電灯に赤色セロファンをつけて代用することも可能です。
さらにスズメバチの巣を落とすため、巣の高さまで届く長い棒や、枝切バサミ、ノコギリ、巣を落とした後に巣穴を塞ぐ脱脂綿、スズメバチの死骸や、落とした巣の破片などの掃除するちり取り、ほうき、厚手のビニール袋も忘れずに準備しましょう。
最後に、駆除後にスズメバチが戻ってくる「戻りバチ」や、スズメバチの巣が再び作られるのを防止するために、市販されているハチの忌避剤や捕獲トラップ、粘着シートなどもご用意ください。
スズメバチの巣を自力駆除する手順

➊ 駆除スプレーで周囲を飛ぶスズメバチ、巣の中のスズメバチを駆除する➋ 周囲にスズメバチがいないことを確認してから、巣を落とす➌ 落とした巣やスズメバチの死がいを掃除する➍ 燃えるごみとして処分する➎ 忌避剤・捕獲トラップなどを設置する
スズメバチの巣を駆除するには、まず周辺を飛ぶスズメバチや巣の中のスズメバチの駆除が必要です。巣から数メートル離れ、周りを飛ぶスズメバチに駆除スプレーを噴射しながら徐々に巣へと近づきましょう。
巣の周りを飛ぶスズメバチが見当たらなくなったら、巣まで2メートル程度まで近づき、巣穴の中に駆除スプレーを噴射し続けてください。
この時も、巣からスズメバチが飛び出してきます。それでもひるまず、刺されないよう十分に注意しながら、巣穴に駆除スプレーを噴射し続けます。しばらく経つと、巣からスズメバチが完全に出てこなくなるので、この状態になったら、最後に巣穴に向かって数十秒程度駆除スプレーを噴射し続けましょう。
周囲や巣の中からスズメバチの羽音がしない状態が続いたら、スズメバチの駆除は完了と判断できます。長い棒や枝切りバサミ、ノコギリなどを使ってスズメバチの巣を落としてください。巣穴を脱脂綿で塞いだら、スズメバチの死がいとともにほうきとちり取りで掃除をし、ビニール袋に入れてしっかりと口を閉じ、燃えるごみとして処分しましょう。
最後に、巣があった場所や周辺にハチの忌避剤や捕獲トラップなどを設置し、再びスズメバチの巣が作られないよう再発防止策を取っておきましょう。
スズメバチの巣を安全に駆除するならプロにお任せを

スズメバチは、ハチの中でも攻撃性と毒性がきわめて高い、危険な害虫です。そのため、繰り返しにはなりますが、スズメバチの巣の駆除は、基本的にプロの専門業者や行政に相談するのがもっとも安全・確実な方法となります。
やむを得ずご自身で駆除しなければならないケースもあるかとは思いますが、スズメバチの巣のサイズが大きい場合や、スズメバチの活動が活発な時期、また巣が閉鎖的な場所にある場合などは、原則自力での駆除は避けるべきです。
ご自宅の敷地内にスズメバチの巣が見つかった場合は、無理にご自分で対応しようとはせずに、まずはお気軽にプロの専門業者にご相談ください。