海洋散骨は違法にならない？注意すべき点や流れを詳しく紹介

海洋散骨とは、火葬後の遺骨を粉状にし、海へと撒いて供養する自然葬の一種です。日本では火葬が一般的であり、その後に遺骨を墓地へ納めるのが従来の流れでした。しかし、最近では「お墓を持たない供養」が選ばれることも増えてきており、その中でも特に海への散骨が注目されています。

なぜ海洋散骨が選ばれるのか

海洋散骨は、お墓を建てるよりも費用が抑えられることが大きな魅力のひとつです。お墓の購入や管理には多くの費用がかかりますが、海洋散骨は数万円から利用でき、継続的な維持費も不要です。また、家族構成の変化や後継者不在といった社会背景から、お墓を持たずに供養を選ぶ人も増えています。

自然へと還るという願い

「最期は自然の一部に戻りたい」という想いから、海を選ぶ人も少なくありません。海が好きだった、生まれ育った土地を海から見送りたいなど、個々の想いを大切にした供養方法としても支持されています。実際の散骨は、船で沖まで出て行い、献花や献酒を添えて静かに送り出すのが一般的です。海洋散骨は、現代の多様な価値観に寄り添った、新しい供養の選択肢です。

海洋散骨に興味はあるけれど、「法律的に問題はないの？」と不安を抱く方は少なくありません。実は、現在の日本には散骨そのものを明確に定めた法律は存在していません。そのため、海に撒く行為は、法律で合法とも違法とも明言されていないのが実情です。

関連する法令の見解

海洋散骨を行ううえで無視できない法律があります。ひとつは「墓地、埋葬等に関する法律」です。これは遺骨を勝手に地中へ埋めることを禁じているもので、散骨の概念が含まれていません。この点について国は、「埋葬法は従来の葬送方法を想定したものであり、葬送の自由な形を直接制限するものではない」という立場を取っています。
また「刑法第190条」では、遺体や遺骨を捨てる行為に刑罰が科せられるとしています。しかし、1991年に法務省が「節度ある葬送の一環として行われる散骨は違法ではない」という見解を示し、現在では常識的な方法で行われる海洋散骨は問題ないとされるのが一般的です。

自治体の条例にも注意

地域によっては、独自の規制を設けているところも。たとえば北海道長沼町では、墓地以外での散骨を条例で禁止しています。また、静岡県熱海市では、観光地としての景観や印象を守るため、散骨の場所や時期、方法などを細かく定めたガイドラインを設けています。違法行為でないとはいえ、周囲への配慮や節度ある行動は必須です。自治体のルールを確認し、専門業者のサポートを受けながら行うことで、トラブルを避け安心して供養ができるでしょう。

海洋散骨を行うにあたり、国の許可を得る必要はありません。法律上、明確な手続きが定められていないため、業者に依頼して契約を交わせば、すぐに散骨を実施することが可能です。そのため「自由にできる供養のひとつ」として、注目を集めています。

ただし、すでに納骨されている遺骨を取り出して散骨したい場合や、業者に手続きを任せる際には、いくつかの書類が求められます。代表的なものとしては「火葬許可証」「埋葬許可証」「改葬許可証」などがあり、これらは遺骨の正当な管理と扱いを証明する役割を果たします。必要な書類については依頼する業者へ相談するなどして、適切な対応を取るよう心がけましょう。

近年、自然に還る形の供養として「海洋散骨」を選ぶ方が増えています。特別な許可は不要ですが、周囲や環境への配慮は欠かせません。気持ちよく故人を送り出すためにも、押さえておきたい海洋散骨で守るべきマナーや注意点をご紹介します。

遺骨は必ず細かく粉砕する

海へご遺骨を撒く際は、そのままの形ではなく、2ミリ以下の微粉末にする「粉骨」が必要です。見た目で遺骨とわからなくすることで、周囲への配慮にもなります。自分で行うことも可能ですが、精神的な負担や力仕事になるため、専門業者へ依頼するのが一般的です。

公共の場所からの散骨はNG

港やフェリー、橋の上など、人が多く集まる場所から散骨するのは避けましょう。飛散した遺骨が他人にかかってしまう可能性があり、トラブルに発展する恐れがあります。安全に配慮し、専用の船を使って沖合で行うのが望ましい方法です。

環境への思いやりを忘れずに

故人の思い出の品を一緒に流したい気持ちはわかりますが、プラスチックや金属など自然に還らないものは避けましょう。海へ流す際は、花びらなど自然由来のものであれば問題ありません。ただし包装資材やリボンなどは事前に外すなどの配慮が必要です。

散骨場所の選定は慎重に

どんな海でも散骨ができるわけではありません。浜辺や漁港の近く、観光スポット周辺などでの散骨は、周囲に不快感を与える可能性があります。また、湖や川などの淡水域は水源となる場合も多く、散骨には不向きです。人や自然への影響が少ない沖合を選びましょう。

服装はカジュアルに

散骨に向かう際に喪服を着ると、周囲に重たい雰囲気を与えてしまうことがあります。また、船上は足元が不安定なので、滑りにくい靴と動きやすい服装がおすすめです。周囲の環境に馴染む、落ち着いた私服で臨むのが適切です。

自然の中でお別れをする方法として海洋散骨を選ぶ人が増えています。けれど、実際にどんな流れで進むのかは、まだあまり知られていないかもしれません。ここでは、海洋散骨を行うときの基本的な流れをわかりやすくまとめます。

業者の選定と相談

まずは海洋散骨をお願いする業者を探します。サービスの内容や費用、どこから出航するかなどを確認しながら、自分たちに合いそうなところを選びます。気になることがあれば電話やメールで問い合わせてみましょう。

遺骨の引き渡しと粉骨

海に撒くためには、遺骨を細かい粉にしておく必要があります。業者に直接渡すか、郵送や自宅への引き取りを利用する方法もあります。

散骨当日

当日は集合場所の港に向かい、スタッフの案内で船に乗ります。安全説明を受けたあと、海へ出発。散骨ポイントに到着したら、遺骨や花などを順番に海へ手向けます。静かに黙とうをしながら、故人を見送る時間になります。散骨が終わったあとは港へ戻り、現地で解散します。希望があれば、その後に会食を行うこともあります。穏やかな海でのお別れは、気持ちをゆっくり整えるきっかけになるかもしれません。

大切な人とのお別れを、自然の中で静かに迎えたい――そんな想いに寄り添うのが海洋散骨です。しかし、法律やマナー、手続きなどわからないことも多いものです。そんなときは「やさしい海洋散骨」にご相談ください。経験豊富なスタッフが丁寧にサポートし、ご遺族の気持ちに寄り添いながら安心して散骨を進められるようお手伝いします。